二酸化炭素が火山灰土壌に物理吸着されることを解明(国際誌に近日掲載)
二酸化炭素が火山灰土壌に物理吸着されることを解明(国際誌に近日掲載)

二酸化炭素が火山灰土壌に物理吸着されることを解明(国際誌に近日掲載)

 

県立広島大学・米村研と農研機構・農業環境研究部門の研究成果が査読付き国際誌であるSoil Science and Plant Nutritionに受理され,近日中に掲載されます。当研究室の大学院生が筆頭著者として執筆しています。なお,現時点では未掲載ではあるものの雑誌のウェブサイトでは”Latest Articles”としてご覧いただけます。本論文では火山灰土壌が二酸化炭素を自然環境中で取り得る温度・圧力の範囲で物理吸着することを解明した内容をまとめました。報告した成果は,陸域生態系の炭素循環を深く理解するための新たな視点を提供すると期待されます。

 

Tabata Soichi, Yonemura Seiichiro & Wagai Rota. (2025). Adsorption and desorption of carbon dioxide by volcanic ash soil: quantitative analysis using the flow-through chamber method. Soil Science and Plant Nutrition, 1–8. https://doi.org/10.1080/00380768.2025.2496402

 

陸域生態系における炭素循環は地球温暖化と関連して重要な研究テーマとなっており,その構成要素である植物や土壌が注目され世界的に多くの研究がされています。土壌では植物から供給された有機物(枝・葉など)が溜まり、土壌動物や微生物によって分解されて最終的には大気へ二酸化炭素(温室効果ガス)として放出されます。過去,このような土壌有機物の分解に注目した研究では、有機物分解の際に生じる二酸化炭素は「生物的なメカニズムによるもの」として解釈されてきました。そのような関連分野の常識に対し,本研究の成果は生物的メカニズムだけでは解釈できない二酸化炭素の交換,すなわち物理的なメカニズムによる交換という新たな視点を与えます。これまで多くの研究者が行った土壌における二酸化炭素の交換過程についての研究では吸脱着現象が考慮されていません。そのため,本成果をきっかけに,これまでの土壌での二酸化炭素動態に関する膨大なデータに対する既存の解釈を変更されることも考えられます。

*写真:本研究を行った実験システム。内部に土壌を入れ込んで実験しました。

 

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